2022年11月23日号【Vol.892】にて経営改善計画策定事業の概要についてご紹介いたしました。今号では、経営改善計画を作成する際の基礎となる現状把握(財務DD・事業DD)を行う際の切り口・着眼点についてご紹介いたします。
経営改善計画の実効性を高めるためには、適切な経営課題・問題点を特定・明確化しなければなりません。最初から経営課題が明確でない場合は、経営課題を抽出するプロセスとして現状把握(財務DD・事業DD)が最初のステップとしてとても重要です。そこで、現状把握をする際の切り口・着眼点を中小企業庁の公表資料を基に調査項目、検討可能項目、会社準備資料等を下記の表にまとめましたのでご紹介いたします。
◎現状把握の切り口・着眼点
切り口・着眼点 | 調査項目 | 検討可能項目 | 会社準備資料等 |
会社基本情報 | 株主構成や役員構成、代表者年齢や経営理念といった基本情報等を確認・整理 | 経営体制・事業承継における問題点の検討が可能に。 | ・株主名簿
・事業承継について ・登記簿謄本 |
財務分析 | 過去の損益・経営管理指標等の変動状況と、その変動原因の確認、同業データとの比較等 | 損益・経営管理指標等の特徴・問題点等の把握が可能に。 | ・直近3期分の財務数値
・粗利分析資料 ・部門別・店舗別・事業別・得意先別等分析資料 |
商流 | 仕入先から販売先までの商品・サービス等の流れ、取引先の概要と取引状況・取引条件や、業種特性を踏まえた売上構成要素(店舗別、平均単価・販売数量、人数、稼働率)などの推移等 | 商流から見た自社の特色、問題点の検討が可能に。 | ・商流図
・得意先一覧表 ・仕入先・外注先一覧表 ・売上分類表 ・売上構成要素 |
業務プロセス | 自社内の製品製造、サービス提供時における業務フロー及び各工程の作業内容等 | 自社の付加価値・競争力の源泉へ気付き、強み・弱み等を検討することが可能に。 | ・製造工程表
・購買プロセス表 ・販売プロセス表 |
外部環境・市場 | 自社の属する業界及び市場の概要と動向等 | 外部環境の問題点や、今後の見通し等について検討することが可能に。 | ・競合他社のリサーチ
・価格転嫁状況 |
これらの切り口・着眼点にて整理することにより定性的情報・定量的情報の両面から網羅的に現状把握・検討することが可能となります。
税理士 久保 康高