2023年度税制改正大綱が閣議決定された場合、従来の相続空き家特例税制(3,000万円の特別控除)の一部縮減改正がされた上で適用期限が4年間(2027年12月31日まで)延長されます。
◆空き家の統計
総務省統計局公表の2018年住宅・土地統計調査によると空き家は846万戸と2013年と比べ26万戸(3.2%)の増加となっており、総住宅数に占める空き家の割合は13.6%(別荘を除くと12.9%)と過去最高となっております。地方の空き家率が高いものの一都三県でも別荘を除くと10~11.8%となっております。空き家の内訳を建て方別にみると、一戸建が317万戸(37.5%)、長屋建が50万戸(5.9%)、共同住宅が475万戸(56.2%)となっております。
相続空き家特例税制は、上記の長屋建・共同住宅は対象ではなく主に一戸建を対象とした空き家の発生抑制目的の税制となっております。
◆主な適用要件
①相続の開始があった時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却すること。
②1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋(マンション等の区分所有建物を除く)であること。
③相続の開始の時から売却の時まで、あるいは、家屋の取り壊し時までに事業の用、貸付けの用、居住用に利用していないこと。また家屋の取り壊し後から売却の時まで建物等の敷地に利用されていないこと。被相続人が相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所していた場合も同様の対象扱い。
④売却代金が1億円以下であること。
◆改正される一部縮減の内容
2024年1月1日以降の相続空き家の譲渡から取得した相続人の数が3人以上の場合、相続人ごとの特別控除額は3,000万円ではなく2,000万円へ縮減となりました。例えば取得した相続人が3人いる場合、2023年中に売却すれば合計9,000万円の特別控除が可能ですが、2024年以降の特別控除額は合計6,000万円までとなります。
現時点で一戸建空き家の実家の相続が開始し、取得する相続人が3人以上の場合で売却処分をご検討の方は、2023年中に売却することをお勧めいたします。
税理士 久保 康高