国税庁は3月30日に令和3年度分会社標本調査結果について公表しました。
会社標本調査とは、法人企業について資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的として実施しているサンプル調査です。昭和26年分以降毎年実施しており今回が第72回目です。
〇交際費等について
交際費等の支出額は2兆8,507億円(前年度比▲1,098億円、同▲3.7%)で平成30年度の3兆9,619億円から3年連続で減少しています。
営業収入金額 10万円当たりの交際費等支出額は、全体では193円で、これを資本金階級別に見ると、資本金1,000万円以下の階級が523円と高く、次いで資本金1,000万円超5,000万円以下が180円で、資本金階級が高くなるにつれて減少し、資本金10億円超の階級は 54円と低くなっています。
また、業種別にみると建設業が521円、料理飲食旅館業が471円、不動産業が438円、サービス業が344円と高く、一方、化学工業が76円、機械工業が103円、食品製造業が104円、卸売業111円、小売業147円 と低くなっています。
交際費の減少は新型コロナウイルスによる自粛等が引き続き影響しているとみられます。
〇その他法人所得金額、法人税額等
①営業収入と所得金額
1.全体の傾向
営業収入は1,478兆4,551億円(前年度比+128兆3,608億円、同+9.5%)で3年ぶりの増加となりました。所得金額については75兆5,808億円(前年度比+11兆7,939億円、同+18.5%)で2年連続の増加となりました。
2.業種別の傾向
所得金額の増加額・増加率を業種別にみると、増加額が最も大きいのは、「サービス業」、次いで「卸売業」、「機械工業」となっており、増加率が最も高いのは、「鉱業」、次いで「料理飲食旅館業」、「鉄鋼金属工業」となっています。
所得金額の減少額・減少率を業種別にみると、減少額・減少率が最も大きいのは、ともに「運輸通信公益業」、次いで「金融保険業」、「建設業」となっています。
②法人税額
法人税額は13兆2,464億円で、前年度より2兆685億円(+18.5%)増加しました。
③繰越欠損金
繰越欠損金の当期控除額は10兆917億円(前年度比+3兆672億円、同+43.7%)となり増加、翌期繰越額は73兆5,399億円(前年度比+2兆2,748億円、同+3.2%)となり増加しました。
収入、所得、法人税額は増加した一方で繰越欠損金額も増加しており、二極化が見受けられます。
(水田 裕之)