今年も公正証書遺言作成のお手伝いを何件もさせていただいております。これから遺言書の作成をお考えの方に知っておいていただきたいのが「付言事項」です。付言事項とは、財産の分け方などとは異なり、遺言者の気持ちや相続人に伝えたいことを書き残すことをいいます。トラブル防止に役立つケースも少なくありません。今回は「付言事項」についてお話いたします。
- 遺言書の付言事項とは
遺言書において法的効力を与えることを直接の目的としない記載事項を付言事項といいます。たとえば、葬儀・納骨に関する希望や家族へ伝えたい感謝の気持ちなどです。ご自身の気持ちをしっかり理解してもらうため、あいまいな内容にならないようご注意ください。
- 法定遺言事項と付言事項の違い
遺言書に記載することで法的効力が与えられる事項は法律で定められております。これを「法定遺言事項」といいます。例えば、遺産分割方法の指定や、相続分の指定、特別受益の持ち戻しの免除、推定相続人の廃除、遺贈、子の認知、遺言の内容を実行する遺言執行者の指定、祖先の祭祀を主宰する祭祀承継者の指定などです。これらは、遺言書に記載することで法的効力が認められます。
一方、法的効力が認められない事項は「付言事項」となります。
- 付言事項を書くメリット
付言事項は自由に文章を作成できることから、遺言者自身の直接的な想いを関係者に伝えることができます。そのため、家族に対して感謝の気持ちを伝えることができる、死後の葬儀や納骨の方法などを希望通りにしてもらいやすくなる、相続トラブルを避けることができる可能性がある、などのメリットがあります。
例えば、遺言書を書く場合、介護に従事してくれた長男に、ほかの兄弟よりも多めの財産を渡したいなど、相続人間で不平等な内容にしたいこともあるでしょう。その場合、取り分が少ない相続人には不満が生じやすくなります。しかし、そのような内容の遺言を作成した経緯を付言事項に書くことで、相続人の不満が解消されることも少なくありません。
また、葬儀や納骨の方法に関しても、遺言書に書いておくことで本人の希望が明確になり、相続人がその希望を尊重して進めやすくなります。
亀戸・錦糸町サポートセンターでは、公正証書遺言作成のお手伝いも致しております。お気軽にご相談ください。
相続診断士 平林 明子