自社の成長を実現するための重要な要素の一つに、「リスキリング」があります。
リスキリングとは、経営者や従業員が新たなスキルや知識を身に着けることを指します。中小企業が変化する市場や技術の進歩に対し、競争力を維持するためには、新たな成長領域に向けて、経営者や従業員の能力向上が重要です。
中小企業白書では、経営者が自ら学習時間を意図的に確保する企業では、売上高の増加率が高い傾向がみられるとしています。その理由は、経営者自身が学ぶ姿勢を見せることで、組織全体の学習意欲を刺激し、リスキリングを推進するきっかけを作れるからです。
中小企業経営者が行っているリスキリングの取組内容(複数回答、%)
書籍・セミナーによる知識の収集 | 75.2 |
社外での勉強会の参加 | 57.4 |
新しいツールや設備の導入、プロジェクトを学習と実践機会の確保 | 35.2 |
新しいスキルに関する資格取得 | 27.2 |
社内での勉強会の参加 | 26.5 |
大学での講座受講・学位取得 | 2.4 |
その他 | 2.5 |
中小企業庁「2023年版中小企業白書」より
以下は、中小企業がリスキリングを進めるためのいくつかのポイントです
1)ニーズの把握:まずは、現在の市場状況や業界のトレンドを把握し、新たな成長領域に対して企業が求められるスキル・能力を明確にすることが重要です。それに基づいて、従業員に必要なスキル・能力を特定しましょう。
2)計画策定:リスキリングの計画を立てる際には、個々の従業員の能力や興味を考慮することが重要です。どのスキル・能力が最も必要か、どのようなトレーニングや教育プログラムが効果的かを検討しましょう。
3)トレーニングと教育プログラムの提供:適切なトレーニングや教育プログラムを提供することで、従業員が必要なスキル・能力を習得できます。外部のトレーニング機関や教育機関と提携することも考慮してください。
4)成果のモニタリングと改善:リスキリングのプロセスを定期的に評価し、従業員のフィードバックを収集しましょう。プログラムの改善点や成果を把握することで、より効果的なリスキリングを実現できます。
リスキリングへの取組に関連した助成金が創設されるなど、国もリスキリングを推進しています。従業員はもちろん、経営者もリスキリングに取組む価値があるようです。
税理士 廣島 清量