近年、事業が軌道に乗っていて比較的余裕のある経営者・個人事業主の投資熱を感じます。そんな中2024年1月より新NISA制度が開始したことから、小規模企業共済・iDeCo・新NISAのどれが良いのかというご質問を受けましたので、今号ではいくつかの切り口からメリットとその特徴についてご紹介いたします。どれも上限金額が小さいのでオマケ的位置付けで頭に入れておかれることをお勧め致します。
小規模企業共済 | iDeCo(個人版DC) | 新NISA | |
掛金上限額(年額) | 840,000円 | 816,000円 | 3,600,000円 |
支払時のメリット | 全額所得控除 | 全額所得控除 | 何もなし |
運用時 | 自分で投資先を選定することなく、共済が運用する(令和4年実績は0.84%) | 自分で投資先を選定 | 自分で投資先を選定 |
受取時のメリット | 分割受取時:雑所得(公的年金等と同じ扱い)扱い
一括受取時:退職所得扱い |
分割受取時:雑所得(公的年金等と同じ扱い)扱い
一括受取時:退職所得扱い |
非課税 |
受取可能な期間 | 老齢給付は65歳から | 60歳から | いつでも受取可能 |
その他の特徴 | 掛金総額の7~9割を有利子で借りることが可能 | 中途解約不可 | 最大1,800万円まで掛けることが可能 |
それぞれ特徴のある中で税優遇と資金への換金性から検討すると下表の通りとなります。
小規模企業共済 | iDeCo | 新NISA | ||
税優遇 | 支払時 | 〇 | 〇 | × |
受取時 | △ | △ | 〇 | |
換金性 | △ | × | 〇 |
元本保証されている投資は一つもありませんが、一般的には投資先選定に自信がない方は小規模企業共済を、投資先選定に自信のある方は新NISAに満額投じるのがよいのではないでしょうか。経営者・個人事業主の皆様は本業の経営が第一にありますので、それらを阻害しない程度に現在の投資へのちょっとしたオマケが欲しい方は始めてみるとよいかもしれません。
税理士 久保 康高