新しい製品やサービスを生み出す過程で、先が見えない不確実性に直面することは多いでしょう。そんな時に役立つのが「エフェクチュエーション理論」です。この理論は、起業家が不確実な環境下でどのように意思決定を行うかを説明しており、皆さんのビジネスにおいても強力なツールとなります。今回は、エフェクチュエーション理論の基本原則と、それをどのように実践に取り入れるかをご紹介します。
1)手持ちの鳥(Bird-in-Hand)原則
まず、何を持っているかを見直しましょう。あなたの知識、スキル、ネットワークなど、現在手元にあるリソースを最大限に活用します。新しい製品やサービスを考える際に、これらのリソースがどのように役立つかを考えてみてください。
2)許容可能な損失(Affordable Loss)原則
次に、どれだけの損失を許容できるかを明確にしましょう。最初から大きな利益を狙うのではなく、損失を最小限に抑える範囲で意思決定を行います。
新しい製品を開発する際、まずは小規模な試作やプロトタイプを作り、市場の反応を見てから本格的な投資を行うと良いでしょう。これにより、大きな損失を避けつつ、実際の市場ニーズを把握できます。
3)クレイジーキルト(Crazy Quilt)原則
他者とのパートナーシップを積極的に活用しましょう。異なるバックグラウンドを持つ人々と協力することで、新しいアイデアやリソースが得られます。
4)レモネード(Lemonade)原則
予期せぬ出来事や失敗をチャンスとして捉えましょう。柔軟に対応し、新たな機会を見つけることが重要です。
市場に出した製品が予想外の用途で使われていることに気付いたら、その用途に特化した新しい製品ラインを考えると良いでしょう。このように、偶然の出来事を積極的に活用していきます。
5)パイロット・イン・ザ・プレーン(Pilot-in-the-Plane)原則
あなた自身の意思決定と行動が未来を形作るという信念を持ちましょう。自分の手で未来をコントロールする力を信じて、積極的に行動してください。
エフェクチュエーション理論は、不確実なビジネス環境での成功を支援するための強力なフレームワークです。これらの原則を日々の経営に取り入れることで、新しい製品やサービスの開発をより効果的に進めることができるでしょう。
【参考】エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」
(日本初の入門書)吉田 満梨 他1 著 出版 ダイヤモンド社
税理士 廣島 清量