令和6年6月5日に商工会議所が「中小企業の賃金改定に関する調査」【調査地域:全国47都道府県、回答企業数:1,979社、調査期間2024年4月19日~5月17日】の集計結果を公表しました。以下、ポイントのみ抜粋してご紹介致します。
【ポイント①:2024年度の賃上げ】
〇従業員数20人以下の企業で2024年度に「賃上げを実施予定」とする企業は63.3%。うち「防衛的な賃上げ」は64.1%。規模の小さな事業所では、賃上げの動きがやや鈍く、厳しい状況。
〇「賃上げを実施予定」とする企業は、卸売業、製造業で8割超え。最も低い医療・介護・看護業で5割強(52.5%)と全業種で半数以上が賃上げ。
【ポイント②:正社員の賃上げ】
〇20人以下の企業で正社員の賃上げ額(月給)8,801円、賃上げ率3.34%(加重平均)
〇業種別では、その他サービス業、小売業で4%台と高く、運輸業、医療・介護・看護業は2%台にとどまる。
【ポイント③:パート・アルバイト等の賃上げ】
〇20人以下の企業で賃上げ額(時給)43.3円、賃上げ率3.88%(加重平均)
〇業種別では、医療・介護・看護業、運輸業で4%台後半と高い賃上げ率。
上記のような賃上げ基調にある中、令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度(個人事業主は令和7年から令和9年)から賃上げ促進税制が強化されています。中小企業の場合、全雇用者給与等支給額の増加額の最大45%の税額控除を受けることが可能となりました。法人税額等の20%が控除上限とされていますが、未控除額は5年間繰越控除できる措置が新設されました。賃上げ要件を満たした上で、さらに新設された上乗せ要件である「くるみん認定」「えるぼし認定」とは何なのか概要のみご紹介致します。
〇くるみん認定
くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画の策定・届出等をした企業のうち、計画目標を達成し一定の基準を満たした企業が、管轄労働局雇用環境・均等部(室)へ申請を行うことにより「子育てサポート企業」として厚労省より認定を受けられます。一定の基準とは、男性の育児休業等取得率10%以上、男性の育児休業等・育児目的休暇取得率20%以上)などです。
〇えるぼし認定
えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づき、一般事業主行動計画の策定・届出等をした企業のうち、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況が優れている場合などの要件を満たした企業が、管轄労働局雇用環境・均等部(室)へ申請を行うことにより、厚労省より認定を受けられます。
日本政策金融公庫からの低利での資金調達・優秀な人材の確保・企業イメージの向上のためにも知っておいてよい制度情報かもしれません。詳しい認定要件等につきましては弊社社会保険労務士までご相談ください。
税理士 久保 康高