- サービスが普及してきた経緯
近年、退職代行サービスが急速に普及しています。2010年代後半から注目され始め、特に2018年以降、多くの従業員が利用するようになりました。年齢別での利用者は20代が最も多く、年齢が上がるにつれて利用率が下がっていく傾向があります。代行を請け負うのは、民間の代行業者や労働組合、弁護士等の専門家の場合もあります。労働環境の変化や、労働者の権利意識の向上、 リモートワークの普及などが背景にあるようです。最近ではネットニュースや報道などで頻繁に見聞きすることが増えた事もあり、今後はさらに利用者が増える可能性がありそうです。そういった社会的背景を踏まえ、仮に自社が当事者になった際の対応についてポイントをまとめてみます。
2. 退職代行サービスから退職通知を受けた場合の対応ポイント
- 退職代行を請け負っている業者の確認
上述したように、一言で「退職代行」といっても運営元は様々です。退職の意思表示を代行するだけであれば問題はないのですが、退職にあたって発生する可能性のある、退職日や有給休暇、未払給与や退職金の各種交渉については、運営元によっては違法である可能性があるため、相手先の確認は必須といえます。
- 退職者本人の意思確認
退職代行サービスからの通知が従業員本人の意思であることを確認します。ある日突然、依頼を受けた会社から電話で本人の意思を伝えられても、あまりにも唐突のため、その真意についてすぐに理解することは難しいと思います。そのため、本人からの依頼に基づいているのかを確認する意味でも、書面での提示を求める、委任状の提出を依頼する等、間違いなく本人の意思である事を確認してください。その事実確認が曖昧なままでは、手続きを進める訳にはいきません。
- 退職する従業員との労働条件について確認する
法的には、退職希望日の2週間前までには退職の意思表示が必要になりますが、就業規則等によっても異なる場合があります。退職希望日が法的に問題無いか?有給休暇が残っている場合の処理方法などについて確認しておきましょう。
いかがでしょうか?退職代行サービスは、従業員にとっては直接退職を伝えづらい状況において重要な役割を果たしている一方で、言われた側の会社にとっては良い印象は受けないでしょう。
しかしなぜ、こういったサービスを相手が利用してきたのか?その理由や背景、会社として法的対応に問題が無かったか?それらを見直す良いきっかけにはなるかもしれません。
(齋藤 勝)