経済産業省が経営課題の発見のために役立つ簡易経営診断ツールの利用を推奨しています。今号では、その簡易経営診断の中の非財務パートの診断切り口の一部をご紹介いたします。主に業務フロー、商流から経営状況を把握し、強みや課題の発見、課題を解決するための対応策を考えていくツールとなっています。
〇業務フロー:自社の強みや魅力を発見する
業務フローでは、自社の業務の流れについて整理しながら「差別化ポイント(自社のこだわりや工夫)」を発見することが主な目的となります。業務の流れを整理するために、自社の商品・サービスがお客様に提供されるまでのプロセスを5段階に分解すると分かり易くなります。業務プロセスの分け方は、業種・業態によって異なってきます。以下は主な業種別業務フローの例の一部の抜粋になります。
業 種 | 業務1 | 業務2 | 業務3 | 業務4 | 業務5 |
製造業 | 提案・受注 | 試作 | 仕入 | 製造 | 検品・納品 |
卸売業 | 営業 | 仕入 | 品質管理・配送 | 販売 | アフターフォロー |
建設業 | 営業・商談 | 計画 | 設計 | 施工 | 維持管理 |
サービス業 | 営業・企画 | 提案 | サービス提供 | サービス管理 | アフターフォロー |
運輸業 | 営業・受注 | 受取・集荷 | 保管・品質管理 | 移送 | 配達完了 |
不動産業 | 営業・提案 | 交渉 | 申込 | 契約・引き渡し | アフターフォロー |
飲食店 | 商品企画 | 広告 | 材料仕入 | 調理 | 提供 |
【参考:ローカルベンチマークガイドブック企業編】
一つ一つの業務プロセスで自社のこだわりや工夫を捻出していきます。「自社が何のために存在しているか?」を業務フローから導くことも可能となります。
〇商流:なぜ、その仕入先を選択し、なぜ、顧客から選ばれているのか?
1.なぜ、その仕入先・協力先なのか?
自社が仕入先をどんな理由から選択しているのでしょうか。価格が安いのか、短納期なのか、品質が良いのか、独自の技術・サービスがあるのかなど様々な理由があるはずです。
2.なぜ、顧客から選ばれているのか?
なぜ、得意先・消費者から選ばれているのでしょうか。顧客ニーズに合致しているからなのか、販売方法に強みがあるからなのか、顧客の囲い込みができているからなのか、様々な理由が考えられます。また業務フローの「差別化ポイント(自社のこだわりや工夫)」が得意先や消費者へきちんと伝わっているのかも検証してみましょう。
経営の調子がいまいちと思われた時だけでなく、順調にいっている時から自社を客観的に見つめ直す意味で利用してみるのもよいかもしれません。
税理士 久保 康高