〇所得税が課税されないもの
今年はパリオリンピック・パラリンピックが行われ、オリンピックは8月11日、パラリンピックは9月8日に閉会式が行われ、日本選手は前回の東京オリンピック、パラリンピックに続き多くのメダルを獲得しました。オリンピックでは金メダル20個、銀メダル12個、銅メダル13個の合計45個のメダルを獲得しました。ニュースなどを見ているとメダル獲得者にはJOCなどから報奨金が支払われると伝えられていますが、このメダリストが受け取る報奨金には税金が課税されるのでしょうか。
所得税においてはすべての所得に対して課税することを原則としていますが、所得の中には社会政策その他の見地から所得税を課さないものがあります。これを非課税所得といいます。非課税所得となるものは所得税法、その他の法律等において規定されています。
主な非課税所得には以下のものがあります。
・遺族年金等 傷病者や遺族などの受取る恩給
・通勤費 給与所得者に支給される限度額内の通勤手当等
・生活動産 生活に通常必要な動産の譲渡による所得
・国への寄附 国や地方公共団体等に財産を寄附した場合の譲渡所得等
・オリンピック オリンピック等において優秀な成績を収めた者に交付される金品
・損害賠償金 心身、資産に加えられた損害に基づいて取得する保険金、損害賠償金等
・宝くじ 宝くじの当選金(当せん金付証票法において規定)
上記にあるようにオリンピックの報奨金には所得税が課税されません。
所得税法において、オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、財団法人日本障害者スポーツ協会(JPSA)その他これらの法人に加盟している団体であって政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するものと規定されています。
ただし、JOC、JPSAとは別に加盟している競技団体(日本陸上競技連盟、日本卓球協会、日本体操協会など)から別途交付される報奨金については非課税限度額(金500万円、銀200万円、銅100万円)があり、これを超える場合には一時所得として所得税が課税されます。それ以外の所属団体や所属する一般企業などから支給される報奨金については給与所得又は一時所得として所得税が課税されます。
〇所得税が課税されるもの
上記に記載した通り非課税所得に該当しない所得には課税されることになります。申告漏れに注意しなければいけない主なものとして以下のものがあります。
・太陽光発電設備による売電収入(雑) ・暗号資産の取引に係る収入(雑)
・競馬、競輪等の払戻金を受けた(雑) ・生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金(一)
・ふるさと納税に返礼品を受けた(一) ・金、地金や通常必要でない動産の売却収入(譲)
これらの所得で一定額以上の所得がある場合には確定申告をする必要があります。
(水田 裕之)