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中小企業M&Aの最新動向

中小企業庁によると2025年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万社(日本企業全体の1/3)が後継者未定とされています。このため、2050年頃までは中小企業のM&Aの件数は増加傾向と予測されています。今号ではM&Aマッチングサイトではなく、M&A専門仲介会社やM&A支援機関を活用したM&Aにおいて譲渡対象となる企業の特徴について簡単にご紹介いたします。

【譲渡対象となる企業の条件】

〇売上1億円以上

〇純資産がプラス

※債務超過の場合でも、特殊技術・特許を保有している、免許・許可を保有している、従業員数が多い場合は考慮されます。

〇黒字基調

 

【急に譲渡意思が発生する企業】

〇相続が発生した企業

〇二代目以降が嫌々・渋々継いだ企業

 

【M&A市場で人気の業種】

〇IT、ソフトウェア関連業

〇建設業・設備工事業

〇ビルメンテナンス業

〇介護・医療事業

〇物流・運送業

※業種に関係なく、属人的なビジネスや家族経営、従業員がいない会社はM&Aには不向きです。反対に、不人気業種としては、印刷業、アパレル関係業、歯科医院が挙げられます。

経営者と事業承継に関する打ち合わせを行う際、後継予定者の同意だけで安心してしまう経営者が多い傾向にあります。また、後継予定者の株式の買取価格、経営能力、個人保証、決算内容を十分に理解していない企業も多く見受けられます。さらに、経営者が単独で取引先と交渉しようとするケースも散見されますが、M&A専門仲介会社や支援機関を介さずに行うM&Aでは、様々なリスクに気付きにくく、交渉がうまく進まずに不成立となることが多いです。

企業価値の算定は、相続税の株価計算とは全く異なる方法で行われ、株式譲渡予定額の参考となります。株価が適正かどうかを第三者(M&A支援機関)から評価してもらうことで株価(譲渡価額)に説得力が増します。また、買い手の視点・評価を知ることで、事業承継(M&A)実行時までの会社経営に活かせる課題が見つかることがほとんどです。これらの課題を改善できれば、さらに株価(企業価値)も向上し、会社オーナーと従業員双方がハッピーになれます。現在、後継予定者がいる場合でも、どのように事業承継を進めるかを判断する一つの材料として、企業価値の算定をお勧めいたします。

税理士 久保 康高

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