以前は遺言を作成することに拒否感を持たれておられる方も多数おいででしたが、昨今の終活ブームなどで、ご自身の財産について、きちんとしたお考えを持たれる方が増え、公正証書遺言を作成される方が増加しております。令和6年1月~12月に作成された公正証書遺言の数は12万8,378件でした。(前年比1万件増・日本公証人連合会ホームページより)
今回は公正証書遺言がある場合とない場合の実際の相続手続きの違いについてお話しします。
◆公正証書遺言がある場合の手続き
1.公正証書遺言(正本)(作成時に遺言者に渡されます。紛失の場合は公証役場にて謄本を取得します。)を用意します。
2.取得しなければならない戸籍等(相続人が配偶者または子の場合)
・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本 ・本籍地の記載のある住民票の除票
・相続人の戸籍謄本(相続開始後のもの) ・本籍地記載のある住民票
3.遺言の内容に従って手続きします。多くの場合遺言執行者が指定されていますのでその指示に従い財産を分配します。(財産も調査済みですので指定の相続人に分配します。)
◆公正証書遺言がない場合の手続き
1. 相続人の確定:被相続人の戸籍の遡りを全て取得して相続関係を証明する。(戸籍を出生まで遡ると、少ない方でも3通、多い方では7~8通以上になります。)
2. 相続財産の調査:預貯金、不動産、有価証券などの財産を確認。残高証明の取得等
3. 遺産分割協議:相続人全員で協議し遺産の分割を決め遺産分割協議書を作成
4. 名義変更・財産分配:協議書に基づき、各種手続きを実施
◆公正証書遺言のメリット
☆手続きがスムーズ:相続人が遺言執行者になるケースが多く、取得する戸籍・住民票が少なくて済み、公正証書遺言書で銀行の解約手続きや不動産の名義変更が可能
☆相続争いを防げる:遺言の内容が法的に認められており、故人の遺志を実現することが可能
☆無効になりにくい:公証人が作成するため、安心。保管も万全、検認も不要
公正証書遺言があると手続きがスムーズになり、相続人の負担が軽減されます。
円満な相続のため、公正証書遺言の作成を検討してみてはいかがでしょうか。
相続診断士 平林 明子